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堀田秀吾・明治大学法学部教授。専門は理論言語学と法言語学。このサイトは、管理人の言語や法に関するつぶやきメモ・見聞録・備忘録。


by syugo_h
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私が言語学者になったワケ(「げんごろう」より転載)

最近の、学生たちとの関わりの中で、自分の人生を振り返るべく、
以前、惜しまれつつも休刊となった月刊『言語』の法言語学特集に合わせて
「げんごろう」という月刊『言語』のメルマガに掲載された私の記事を
ここに引用する。
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 現在ことばを専門に研究されている先生に,なぜその道を歩むことになった
のかを語っていただくこのコーナー,今回は,9月号の特集にご寄稿くださっ
た堀田秀吾先生に登場していただきました。

         + + + + + + +

 「私が言語の研究に携わるようになったきっかけは,「勘違い」と「恩師と
の出会い」である。もともと私は機械系の高校に通っていたのだが,理系の環
境・学問に不向きなことを悟って挫折し,来る国際化の時代に備えて英語を勉
強しておくべきだろうという安易な発想から大学では英米文学科に入学した。
 しかし,そこでも英米文学科での勉強の中心は,英語を学ぶことではなく,英
米の文学を学ぶことであるということを入学後に知り,二度目の挫折を味わう。
そんな中,大学2年生の時に恩師である赤須薫先生に出会い,先生がアメリカ
の大学院で言語学を学んだ話を聞き,私もアメリカの大学院で言語学を学ぶこ
とに興味を抱くようになる。しかしこの時点ではまだ,中学時の恩師である澤
田忠義先生が英語の教師だったからということもあり,大学院を出て帰国したら,
中高の英語の教員になるつもりであった。
 大学卒業後,修士号を取得するために意気揚々とアメリカの大学院の言語学科に
入学したが,最初の説明会で修士課程の話に全く触れられないことを奇妙に思い,
秘書に尋ねたところ,「うちに修士課程はないわよ。博士課程だけ。」という返事。
つまり,私は修士課程と勘違いして博士課程に入学していたのである。
もう後に引けなくなった私は,そのまま博士号を取得し,研究者になることを決意。
故 James D. McCawley と Jerrold Sadock らに師事し,理論言語学を学んだ。
その後,最初の専任職を法学部で得たということがきっかけで,言語学の立場から法学部
の教学に貢献できる方法を模索し始める。そうして,この法言語学という分野
に行きつく。
 法言語学では,今まで学んできた言語学の諸理論が,法という実社会と
関わりの深いところで活用されていることを知り大きな感動を覚えた。
法言語学は日本ではこれからの分野だったため,鶏口牛後の精神でこの分野で
専門家となるべく,アメリカで取れなかった修士号をカナダに法学で取りに行
くことを決意する。
by syugo_h | 2012-01-05 09:10 | 私事